北川浩の徒然考

私は2016年から成蹊大学の学長を務め、6年間の任期を無事に全うして2022年の3月に退任しました。本ブログは成蹊大学の公式な見解とはまったく無関係なものであり、あくまで社会科学を探求する一人の学者としての北川浩個人の考えを表示しています。

ニューノーマルとパラダイムシフト

最近よく「ニューノーマル」とか「新常識」「新しい生活様式」などの言葉を耳にする。同様に東京都知事をはじめとして政治家のみなさんが「パラダイムシフト」という言葉を使う場面も目にする。「現在」という歴史的節目は、日本にとって重要な局面なので、この機会にこれらの「環境変化」への態度を整理してみたい。

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9月入学を考える3 - 手段と目的が入れ替わっていないか

議論のながれが明らかにおかしい。いま何の議論をしているのかがわからなくなってしまっている。いま解決しなければならない課題のソリューションがまったく出てこない。しつこいようですが、声をあげないといけないので、またまた念押しの記事を書かせていただきました。

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新型コロナによる経済ダメージを考える

今回は少し目線を変えて本業の経済の話をしてみたい。「経済を回せ」とか「コロナ恐慌」などの言葉をよく聞くが、中身はどのようなものか、活路はどこにあるのか、などを考える一助にしていただければと願った次第である。

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多様性の時代の「学年」概念を問う - 新型コロナ9月入学の文脈で

新型コロナ拡大に対する教育の変更に関して、多くの批判や議論の中で強い足かせになっているのが「学年」という概念である。戦後の日本の教育に深く根付き、その後の日本の文化や社会構造さえも強い影響を受けてきた概念である。多様性が強く叫ばれている現代において、この「学年」概念を掘り下げて考えてみたい。

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9月入学を考える2 - 徹底的に高3受験生の視点で

小学校から大学まで一斉に9月入学にすることは、混乱と社会的負担が甚大である、これが反対論の最大の根拠、しかし高校3年生にとっては、このまま受験に突入するのは許容範囲を超えている。ではどうすれば。「大学受験を控える高校3年生のために」を徹底する方向で次善策を考えてみた。

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「出口戦略」は出口に向かっているか?

最近政府や自治体などでさかんに「出口戦略」という言葉を耳にする。しかし、やたらに数値目標のようなものが語られるが、それがなぜ「出口」なのかがよくわからない。今回は新型コロナの「出口」について掘り下げてみたい。

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9月入学を考える - To Be or Not To Be?

 


新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ほとんどの学校の1学期の教育が機能停止する中で、すべての学校の入学時期を9月にするという案がにわかに現実味をおびてきた。こんなことが短期間に可能なのか、クリアすべきハードルはあまりに多く、あまりに高い。どうすれば可能になるのか、9月入学問題について掘り下げてみた。

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緊急事態宣言の延長はぜひ「具体的メッセージ」と共に

5月6日までの期限で出されている「緊急事態宣言」はその延長(5月31日までが有力)が確実視されている。しかし、1か月「自粛」すれば終わりというものではない。われわれはこの延長をどのようにとらえればよいだろうか。また、政府は国民に何を伝えればよいだろうか。現状に即して考えてみた。

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長期戦に備える非接触型イノベーション - 「がまん」だけではダメ、前を向こう!

緊急事態宣言が出された後、「一カ月がまんすれば終わる」という意識の人が多い。しかし、山中教授が述べているように「新型コロナとの戦いはマラソン」のようなもの、最初に息を止めて全力疾走したら途中で息切れすることは明らか。いま求められるのは環境に適応する我々の意識変革である。

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現金10万円一律給付を考える

 

私はこれまで一貫して現金一律給付の効果に疑問を呈してきた。現在現金10万円一律給付が決定され実行されようとしているが、そのどこに問題があるのかについて述べてみたい。

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医療崩壊前夜 -時間との闘い=政治家の本領の見せどころ

医療崩壊防止>感染拡大防止>弱者救済>景気浮揚 という戦略優先順位の中で、医療崩壊防止は待ったなしの局面に入った。しかし、動きは緩慢で最初の戦略でつまづいている。このままでは見えない敵との戦争にはとうてい勝てない。政府に激励の喝をいれたい。

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大切なのは長期戦の構え -「緊急事態宣言」で終わりではない

 


緊急事態宣言(期間4月8日~5月6日)が出たことにより、多くの人が一か月我慢すればGW明けくらいからは日常に戻れるという錯覚を抱いたように感じられる。しかし、冷静に考えれば、それ以前に政府が言っていた「長期戦になる」「ピークをできるだけ後ろにずらす」という状況はいささかも変わっていない。

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令和に二宮金次郎はいないか?

現在のわが国の状況をみていると、ふと幕末の二宮金次郎のエピソードを思い出した。行政や政治に携わる人の中に二宮金次郎のような人はいないだろうか?若干うろ覚えで不正確なところもあるかもしれないが、その点はご容赦いただきながら、以下で幕末の二宮金次郎のエピソードを紹介してみたい。

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「見えない敵との戦争」に勝つための戦略提言

 

新型コロナウイルスとの戦いはよく「見えない敵との戦争」と表現されることがあるが、戦(いくさ)であるならば勝つための戦略が必要なはずである。しかし現在の日本では、思いついた対策がさみだれ式に打ち出されるだけで、勝つための戦略が示されているようには見えない。

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日本の新型コロナ対策に欠落する総合的思考

 我が国の新型コロナ対策は本当に正しいのだろうか? 私はよくSociety5.0時代において人間の果たすべき重要な役割として「総合的思考」を取り上げている。しかし、現在の我が国(専門家会議)の対策が、いささか総合的思考に欠けているように思われてならない。

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