北川浩の徒然考

私は2016年から成蹊大学の学長を務め、6年間の任期を無事に全うして2022年の3月に退任しました。本ブログは成蹊大学の公式な見解とはまったく無関係なものであり、あくまで社会科学を探求する一人の学者としての北川浩個人の考えを表示しています。

2021-01-01から1年間の記事一覧

オミクロン株への対応を考える

11月29日、岸田首相はすべての外国人の日本への入国を30日午前零時以降停止すると発表した。これまでの総理には見られないような迅速で果敢な決断であるが、どのように評価すればよいだろうか。今回はオミクロン株をめぐる対応について掘り下げてみたい。

10万円給付の不可解さ ~米百俵の精神を思い出せ

今般打ち出された経済対策の中で、18歳以下の子供に一人10万円の現金給付が盛り込まれた。昨年の全国民一律給付の際にも私は反対意見を述べたが、今回はそれよりももっと意味が分からないものになっている。今回はこの問題を掘り下げてみたい。

CS(クライマックスシリーズ)は必要か ~スポーツ本道と興行収入の葛藤

今年の日本のプロ野球は、セリーグではヤクルトと阪神、パリーグはオリックスとロッテがそれぞれ最後まで熾烈な優勝争いを繰り広げ、各チームが死力を尽くして最後まで戦い抜き、両リーグとも前年最下位チームの優勝という形で決着した。コロナ禍の中にあっ…

(祝)眞鍋博士のノーベル物理学賞受賞に思うこと ~日本の科学行政への反省を込めて

2021年度のノーベル物理学賞はプリンストン大学上級研究員の眞鍋叔郎博士(90歳)が受賞した。たいへん嬉しいことであり心からお祝いしたい。しかし同時に博士の受賞は、日本における研究の状況に関して、私たちを叱咤するもののようにも思える。自戒と反省…

新型コロナ第6波はくるか ~ 世界のデータから考える

日本のマスコミは日本の状況だけを紹介することが多く、なかなか世界の感染状況を目にする機会がない。日本ではこの冬に第6波がくるのかどうかが取りざたされているが、今回は世界のデータを眺めることによって新型コロナの「波」について掘り下げて考えてみ…

医療崩壊から見えてくるもの ~何をなすべきか

最近になって政府は秋以降の行動制限緩和の方向性を示唆し始めた、選挙対策かもしれないが、緊急事態宣言の延長とセットで出てくるところは相変わらずのチグハグさである。かなり昔になるがかつて「医療と健康の経済学」を講義した経験があるので、昔を思い…

学校再開vs一斉休校を考える

デルタ株が猛威を振るう中で学校が2学期を迎えることへの懸念が拡大している。夏休みの延長や分散登校などの具体的な措置も散見され始めた。極めて難しい問題であるが今回はこの問題を掘り下げてみたい。

ワクチンは本当に切り札か?

現在政府の中に「ワクチンさえ普及すればコロナ禍は終わる」という楽観的な観測が蔓延しているように見える。しかしこれは現在進行していることを放置することと表裏の関係にある。ワクチンはやがて(数か月後には)国民全体の7割程度に普及すると思われる…

東京五輪の本質を考える ~ この国に未来はあるか

東京オリンピックが強行されようとしている。医療関係者からの警告、世論の反対、宮内庁長官による(天皇陛下の懸念の)表明、何が出てきてもオリンピックを有観客でやると言い張る政府。なぜだろうか。その底流に流れているものを掘り下げてみたい。

東京オリンピックを考える~(5000アクセス御礼)

圧倒的に世論が中止または延期に傾いている東京オリパラ、組織委員会会長まで辞任した。ではなぜこの期に及んでまだ開催に迷うのか? あらためて東京オリパラの迷走を考えることで、決定を迷う根本原因について掘り下げてみたい。