北川浩の徒然考

私は2016年から成蹊大学の学長を務め、6年間の任期を無事に全うして2022年の3月に退任しました。本ブログは成蹊大学の公式な見解とはまったく無関係なものであり、あくまで社会科学を探求する一人の学者としての北川浩個人の考えを表示しています。

東京五輪の本質を考える ~ この国に未来はあるか

東京オリンピックが強行されようとしている。医療関係者からの警告、世論の反対、宮内庁長官による(天皇陛下の懸念の)表明、何が出てきてもオリンピックを有観客でやると言い張る政府。なぜだろうか。その底流に流れているものを掘り下げてみたい。

東京オリンピックを考える~(5000アクセス御礼)

圧倒的に世論が中止または延期に傾いている東京オリパラ、組織委員会会長まで辞任した。ではなぜこの期に及んでまだ開催に迷うのか? あらためて東京オリパラの迷走を考えることで、決定を迷う根本原因について掘り下げてみたい。

和歌山県に見るコロナ戦術の希望 ~ もっと報道してほしい

一昨日和歌山県のホームページに掲載された知事のメッセージ。コロナ禍の中でこれほど冷静で力強いトップメッセージを見たことがない。知事が優秀なのか、官僚が優秀なのか、あるいはその両方なのか。日本にもまだこれほどの政治家がいたことに希望を込めて…

もはやコントとは言っていられない ~ 旭川市の惨状を考える

12月9日に旭川市で新型コロナによる7名の死亡が確認されたと報道された。人口35万人の旭川市の規模を東京の規模に補正すると約40倍、じつに280人の人が亡くなったことになる。ついに自衛隊が派遣されることになったが、しかし驚くべきことにGoToキャンペーン…

笑えるほどチグハグ ~ まるでコント

新型コロナ第3波襲来の中、最近の政治家や知事の発言や政策を見ていると、やることなすことすべてチグハグで、まるでコントを見ているような気になる。日本はなぜこんな状態になってしまったのだろうか。

医療崩壊前夜 ~ 自助でも共助でもなく公助を

マスコミで連日感染者数や重症者数、病床占有率などが報じられており、北海道をはじめとして地方ではかなり医療機関のひっ迫が起こり始めている。政府や自治体は何か手をうっているだろうか? 医療崩壊防止は自助や共助ではどうにもならない。目前に迫った医…

当たってほしくない仮説~紫外線と新型コロナウイルス

最近紫外線照射装置によって新型ウイルスを撃退できるという研究成果が相次いで発表されている。新型コロナウイルスが紫外線に弱いことは早くから指摘されていたが、いよいよ実用化段階に入った。しかし、この紫外線とウイルスの関係性の証明はわれわれに好…

アフターコロナを考える3 ~ スーパー台風のことも忘れずに

アフターコロナを考える際に、一極集中vs地方創生という国土デザインは大きなテーマになるが、その際に忘れてならないのが「防災対策」を軸にした「国土強靭化」である。とりわけ近年台風の強大化によって、毎年甚大な被害が発生している。南海トラフ地震…

アフターコロナ社会を考える2 ~イントロダクション

コロナ禍が長期化(少なくともあと1年)する可能性が高くなったいま、コロナ以後の社会を見通した議論を行い、今何をしなければならないかを考えることが大切だと思う。そろそろじっくり腰を据えてこの問題に立ち向かってみたい。

気になって仕方がないこと ~新型コロナウイルス後遺症と生殖能力

先日、新型コロナウイルスの後遺症についての記事を書いたが、その中でも気になって仕方がないものがある。それは生殖能力(特に男子)に及ぼす影響である。わが国においても早急にこの真偽を調査する必要がある。もし事実ならば、いま日本でとられている曖…

戦略なき政策~「見えない敵との戦争」を放棄した政府

私は4か月前の4月4日のブログで、「見えない敵との戦争」に対する戦略=政策優先順位として、「医療崩壊防止>感染拡大防止>弱者救済>景気浮揚」と述べたが、状況が変わっていないにもかかわらず、現在の政策は全く真逆に変化してしまった。「危機管理…

第二波襲来、緊急事態宣言の必要性を考える ~ 日本には「世間」あって「社会」なし

現在第一波を上回る感染拡大に直面して、「自粛要請」「休業要請」「研究事態宣言」などの発令を求める声が大きくなってきている。これらは必要だろうか。あるいは必要だとすれば何故必要なのだろうか。この問題について掘り下げてみたい。

日本政府の姿はどこに?

そろそろじっくりとアフターコロナ社会を深く考えてみようと思い、充電期間をとってしばらく記事の投稿をお休みさせていただいていたが、さすがに今の状況に対しては何か言わなければならないと思う。

コロナ後の社会を考える1 - 「アフターコロナ」か「ポストコロナ」か?

そろそろ私の研究テーマに近い経済社会構造の話に向かいたいと思います。ただ初回は軽iい話題で申し訳ないですが、言葉の問題だけ取り上げておきます。「アフターコロナ」か「ポストコロナ」か、が主題です。巷には両方の言い方があふれているので。

「withコロナ」を考える

最近「withコロナ」という言葉をよく耳にする。何となく耳あたりのよい言葉であるが、この言葉の持つメッセージ性の曖昧さのゆえに、社会のあちらこちらで様々な現象を引き起こしている。この問題について掘り下げ、これからの新型コロナ対策を考える一助と…

緊急事態宣言解除を考える - 何かずれていないか?

以前に「解除はメッセージ性を重視して」という趣旨の記事を書いたが、状況は真逆になってしまっている。「さあ経済を回そう」という掛け声のように聞こえる。経済だけならまだしも、学校もほぼ一斉に(ガイドラインはあるものの)再開し始めた。国民には何…

日本特殊論を考える - 「神州不滅」の正常性バイアス

日本に死者数が少ないのは「国民が頑張った」「日本人がまじめだから」という論調をよく聞く。それ以外にも日本人の公衆衛生意識の高さや生活習慣、人種や遺伝子など、日本の特殊性を強調した論調が少なくない。しかし、この日本特殊論はかなり危険な側面を…

コロナ禍から「不動産」を考える

先日書いた私の記事の中に「不動産価格の暴落」を予言したような文言があり、周りから多少(買い時はいつになるかなどの)質問を受けた。長期的な趨勢について述べたものであったが、かなり誤解されやすい表現だったと反省している。ここでは新型コロナ拡大…

ニューノーマルとパラダイムシフト

最近よく「ニューノーマル」とか「新常識」「新しい生活様式」などの言葉を耳にする。同様に東京都知事をはじめとして政治家のみなさんが「パラダイムシフト」という言葉を使う場面も目にする。「現在」という歴史的節目は、日本にとって重要な局面なので、…

9月入学を考える3 - 手段と目的が入れ替わっていないか

議論のながれが明らかにおかしい。いま何の議論をしているのかがわからなくなってしまっている。いま解決しなければならない課題のソリューションがまったく出てこない。しつこいようですが、声をあげないといけないので、またまた念押しの記事を書かせてい…

新型コロナによる経済ダメージを考える

今回は少し目線を変えて本業の経済の話をしてみたい。「経済を回せ」とか「コロナ恐慌」などの言葉をよく聞くが、中身はどのようなものか、活路はどこにあるのか、などを考える一助にしていただければと願った次第である。

多様性の時代の「学年」概念を問う - 新型コロナ9月入学の文脈で

新型コロナ拡大に対する教育の変更に関して、多くの批判や議論の中で強い足かせになっているのが「学年」という概念である。戦後の日本の教育に深く根付き、その後の日本の文化や社会構造さえも強い影響を受けてきた概念である。多様性が強く叫ばれている現…

9月入学を考える2 - 徹底的に高3受験生の視点で

小学校から大学まで一斉に9月入学にすることは、混乱と社会的負担が甚大である、これが反対論の最大の根拠、しかし高校3年生にとっては、このまま受験に突入するのは許容範囲を超えている。ではどうすれば。「大学受験を控える高校3年生のために」を徹底…

「出口戦略」は出口に向かっているか?

最近政府や自治体などでさかんに「出口戦略」という言葉を耳にする。しかし、やたらに数値目標のようなものが語られるが、それがなぜ「出口」なのかがよくわからない。今回は新型コロナの「出口」について掘り下げてみたい。

9月入学を考える - To Be or Not To Be?

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ほとんどの学校の1学期の教育が機能停止する中で、すべての学校の入学時期を9月にするという案がにわかに現実味をおびてきた。こんなことが短期間に可能なのか、クリアすべきハードルはあまりに多く、あまりに高い。ど…

緊急事態宣言の延長はぜひ「具体的メッセージ」と共に

5月6日までの期限で出されている「緊急事態宣言」はその延長(5月31日までが有力)が確実視されている。しかし、1か月「自粛」すれば終わりというものではない。われわれはこの延長をどのようにとらえればよいだろうか。また、政府は国民に何を伝えればよ…

長期戦に備える非接触型イノベーション - 「がまん」だけではダメ、前を向こう!

緊急事態宣言が出された後、「一カ月がまんすれば終わる」という意識の人が多い。しかし、山中教授が述べているように「新型コロナとの戦いはマラソン」のようなもの、最初に息を止めて全力疾走したら途中で息切れすることは明らか。いま求められるのは環境…

現金10万円一律給付を考える

私はこれまで一貫して現金一律給付の効果に疑問を呈してきた。現在現金10万円一律給付が決定され実行されようとしているが、そのどこに問題があるのかについて述べてみたい。

医療崩壊前夜 -時間との闘い=政治家の本領の見せどころ

医療崩壊防止>感染拡大防止>弱者救済>景気浮揚 という戦略優先順位の中で、医療崩壊防止は待ったなしの局面に入った。しかし、動きは緩慢で最初の戦略でつまづいている。このままでは見えない敵との戦争にはとうてい勝てない。政府に激励の喝をいれたい。

大切なのは長期戦の構え -「緊急事態宣言」で終わりではない

緊急事態宣言(期間4月8日~5月6日)が出たことにより、多くの人が一か月我慢すればGW明けくらいからは日常に戻れるという錯覚を抱いたように感じられる。しかし、冷静に考えれば、それ以前に政府が言っていた「長期戦になる」「ピークをできるだけ後ろにず…